もりハグ!広場
【もりハグ!春企画】地名を紐解けば、地歴がわかる!「化女沼伝説」
4月に事務局から「おもしろ地名さんとその由来 大募集!」と言うことで、日本全国のもりハグ!仲間の皆様から、ぜひ各地の面白い地名、不思議な地名、珍しい地名など、皆様の活動エリアの地名とその由来を教えてください。と言う呼びかけをさせていただきましたところ、化女沼2000 本桜の会の佐々木さんから「化女沼」についてご投稿いただきました!
化女沼・・・。女が化けて出てくる沼??ちょっと恐い昔話がひそんでいそうなお名前。どんな秘密があるのでしょうか。(もりハグ!事務局)
「化女沼伝説」について
『化女沼』。ちょっと恐い名前のこの沼は、大崎市古川の市街地の北方10 ㎞にある自然豊かな里地里山に囲まれたなだらかな丘陵地にあります。すぐ近くには東北自動車道長者原サービスエリアがあり、その近くには市民ピクニックエリアなど多くの市民、ドライバーの憩いのエリアになっております。対岸には奈良~平安時代の城柵官衙遺跡などもあり、古代の里公園として遊具なども設置され週末は多くの市民の癒やしや憩いの公園となっています。
平成7 年10 月にダムが完成する前までは農業用水のため池として維持されておりましたが、ダム完成後は正式名称が化女沼ダム湖となりました。地域の人々はそれまで化女沼「けじょぬま」、化粧沼「けしょうぬま」と呼んでおりましたがダム完成を機に統一名称にしようということになり、最も古い古文書に載っていた化女沼(けじょぬま)を正式名称に決めました。
化女沼にはたくさんの伝説がありますが代表的な物が以下の伝説です。
昔、沼のほとりに長者が住んでおり、長者には美しい娘(照夜姫)がおりました。娘は朝な夕な、その美しい姿を沼辺に見せていました。すると、そのあまりの美しさにたくさんの蛇が水面に集まるようになりました。ある秋の夕暮れのこと、美しい顔立ちの若者が通りかかり、許しを請うて長者の家に泊まることになりました。やがて、若者は旅立つことになり、娘は別れを惜しみ大変嘆き悲しみました。若者が去ってからというもの、娘は打ち沈み長者の家はひっそりと寂しい毎日が続きました。ある日、草原で物思いにふけっていた娘は身体に異常を感じ、慌てて館に帰りました。しばらくして娘は産気づき、白い蛇の子を産みました。産み落とされた蛇は館を抜けて音もなく、沼の中へ消えていきました。娘は驚き、その蛇の子を追い、愛用の機織り機と共に沼に身を投じてしまいました。その後、毎年7 月7 日には沼の中なら機を織る音がすると言われています。
沼の近くには長者原、金堀場という地名も実在し伝説の信憑性を思わせます。
※長者の娘が沼の水を鏡にして化粧をしたので“化粧沼”と呼ばれていたとの伝説もあります。
様々な伝説に彩られた神秘の湖は、夏にはヒシやハス、ヒルムシロなどの水草が水面を覆い、水際にはヨシ、マコモ、ハナショウブが生え、湖畔にはニッコウキスゲ、サワオグルマ、キキョウ、キツネノカミソリなどが咲き誇り、多種多様な植物が観察できます。またチョウトンボやオオムラサキ、オニヤンマ、ギンヤンマ、シオカラトンボなども飛び回り、生物の貴重な生息域となっております。
冬にはヒシクイ、マガン、オオハクチョウといったガン、カモ類が多く飛来し、重要な越冬地として2008年10 月に国際的に重要な湿地を守るラムサール条約湿地に登録されました。ダム堤体の近くには化女沼観光資料館があり化女沼にまつわる伝説や化女沼で観察できる鳥、魚、植物などをパネルで展示しており2 階には展望室があり、望遠鏡で神秘の湖や渡り鳥などを観察することができます。
「化女沼」の言い伝え、大変興味深いですね。女が化けて出る沼、ではなかったのですね。。沼に棲む蛇が娘に恋をして、美しい青年に化けて会いに来たというロマンティックな昔話でした。もしくは、水面に姿を映しながら娘が化粧をした、、ということ。水面に姿が映るほど、きれいな沼だったのでしょうか。いずれにしても、古くから地域の方々にとって大切な沼だったのでしょうね。
このような古くからの言い伝えも、地域の関係性が希薄になるにつれて忘れられてしまうのかな、と思うと、皆さんの活動による、地域の交流や、子供たちへの環境教育などの大切さを再確認いたします。(もりハグ!事務局)
西暦2000年を記念し未来の子供たちに桜の名所を残そうと、宮城県大崎市古川の北部にある化女沼ダム湖畔およびその周辺丘陵地に桜の植樹を計画。希望者を募り、市民の手により2200本の桜を植樹した。植栽地約50,000坪の環境整備活動(下草刈り・クズ蔦除去)や維持管理活動(追肥・消毒・整枝・下枝おろし)と環境美化活動(ゴミ拾い・不法投棄物撤去)など精力的に実施している。特に2011年の東日本大震災以降は「化女沼の桜で未来の子供たちに夢と希望を!」の理念のもと『心の復興3ヶ年計画』を企画し、近隣の幼保園児、小学生らと桜を植樹した。環境を保全しながら自然と地域住民との良好で持続的な共生を図り、豊かな自然に恵まれた地域の環境を生かしながら全国に誇れる桜の景勝地の実現を目指している。