もりハグ!広場

街中に雑木林を復元
多様な生物が共生する美しい雑木林作り

港北ニュータウン緑の会

2022年12月26日
みんなのもりハグ!








   港北ニュータウン緑の会 会長 永田 和宏

自然保護の仲間たち
 横浜市北部都筑区を中心に広がる港北ニュータウンは1985年頃に完成した街で、「グリーンマトリクス」の概念で緑地保存が計画的に行われました。谷戸の緑を1~2割公園や保存緑地として残しこれらを緑道で結ぶ考えです。今は野兎も雉もタヌキも蛇もほとんどいません。何とか街中に残った自然を保全し育成しようと市民が市と協力して頑張っています。
 住民による森づくり活動はけやきが丘団地で始まりました。団地の1haの保存緑地を管理するため1984年に「けやきが丘森林愛護会」を住民有志23人で結成しました。3年も経つと保存緑地は竹藪から雑木林になりました。この会はその後団地のコミュニティーの中心となり、現在も餅つきや作品展、森の祭りなど近隣の住民を含めた活動に発展しています。
 
 1986年、この保存緑地の隣に8.8haの鴨池公園が開設されました。けやきが丘森林愛護会の会員が中心になって近隣の住民に呼びかけ「鴨池公園愛護会」が結成されました。会員の精力的な活動で竹藪は3年で美しく蘇り、鬱蒼とした雑木林が足を運びたくなるような美しい林に変わり、映画のロケにも使われました。小さな小川を使ったゲンジボタルの育成やトンボ池の設置なども行いました。
 公園の竹林や雑木林を守る市民団体がいくつかできてきたので、1992年に総合公園(19ha、現中央公園)を整備するシンポジウムを開催しネットワーク組織「港北ニュータウン緑の会」を結成しました。そして竹藪だらけの公園を整備する活動を始めました。2000年5月の鴨池(0.5ha)のかい堀では外来魚種の駆除の結果、シオカラトンボ、オオシオカラトンボなど25種類のトンボが発生しました。
 1997年に開設した大塚歳勝土遺跡公園(4.3ha)の竹林を整備したことをきっかけに、ここを港北ニュータウン緑の会の活動拠点にしました。この公園は弥生遺跡のある歴史公園です。「雑木林塾」で竹林・雑木林の管理作業と研修や自然の生態研究など市民の能力向上を図りました。会員は横浜全域ばかりでなく東京からも参加し、それぞれの地域でも公園などの自然の管理育成の活動を行っています。

雑木林の再生と復元
 公園にはクヌギやコナラ、イヌシデ、クリなどあるが、開発から既に50年以上経ち大木が竹藪の中に立っている状態です。農家は雑木を萌芽更新で15年から20年毎に伐採し薪や炭にして林を維持します。そこで1999年12月に烏山公園愛護会との共催で公園の森の斜面地の一部20mx30mで萌芽更新を行いました。萌芽更新は根元50㎝程を残して伐採すると根近くから多くの芽が出るのでそれを数年にわたって剪定し、3本残して成長させる方法です。樹種と分布調査、区分け、切り出した木の搬出経路を決め、伐採方法とチェンソー講習を行った。下草刈りと低木の除去を行い、60本の樹木を伐採しました。多くの萌芽を3年目に剪定し、現在20年経ち元の雑木林に戻っています。2001年11月には鴨池公園愛護会との共催で森の斜面550m2の萌芽更新を行いました。
 
 大塚歳勝土遺跡公園は開設当時一面竹藪でした。1998年に歴史博物館側入り口右奥の斜面を雑木林に復元しました。植林の樹種は、クヌギ、コナラ、イヌシデ、クリ、ヤマザクラなどです。この辺りに昔からある木です。その後、3か所の竹藪を雑木林に復元しました。毎年、初夏と秋に下草刈りを行っています。年2、3回の自然観察会を行い植生の経年変化を記録している。萌芽更新と雑木林復元事業は「花王・みんなの森づくり活動助成」で行われました。
 竹は4、5年で弱くなってくるので伐採しなければならず。そのために春に計画的に筍を残し秋には古い竹を伐採します。竹林は1ha程の広さがあり、年に約1000本の竹を切りチッパーで破砕します。

竹林の間伐作業


 公園の自然に子供たちや大人の方たちに親しんでもらうため、イベントを開催しています。春は竹の子採り大会、夏は竹細工、秋はバウムクーヘン作りなどを行っています。また、公園内の民家園の垣根の手入れや近隣の団地の保存緑地や民家の竹林の整備も行っています。
 「楽しく活動しましょう」これが会のモットーです。会員の多くは60歳代ですが、老も若きも男性も女性もいる。最近では外国籍の方が参加しています。

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