もりハグ!広場
「札幌イオルの森」シンボルガーデンの造成 記念植樹祭と記念シンポジウム
アイヌ文化を育んできた在来種の草木の森「札幌イオルの森」づくりが、札幌市アイヌ文化交流センターの敷地の一角ではじまりました。
NPO法人近自然森づくり協会 (北海道支部)
札幌市では、先進地の平取町に比べ、アイヌ文化の基盤となるイオルの整備が進んでおらず、何とか「札幌イオルの森」の整備を進めたいと考えていました。イオルとは、アイヌ文化を育んだ狩猟・採集の狩り場を意味し、それぞれのコタン(集落)が利用していた生物多様性の高い森や川、海を指しています。本来、平取町のような広大な森林を「札幌イオルの森」として整備したいところです。しかし、それが進まない以上、札幌市民にアイヌ文化の振興に関心もっていただくきっかけ作りが必要です。
そこで、公益財団法人都市緑化機構および第一生命保険株式会社が主催する「緑の環境プラン大賞」のことを知り、札幌アイヌ協会と相談し、当協会も企画・協力者に加わり、札幌アイヌ協会からシンボルガーデン部門に応募しました。驚いたことに、全国で3件である800万円が上限の「緑の環境プラン大賞」に選ばれました。
計画では、札幌市が管理する札幌市アイヌ文化交流センターの敷地の一角にある1,000㎡程度のカラマツ林を対象地として選定しました。生育している国内外来種のカラマツを40本伐採し、エゾシカの食害に備えた防鹿柵を設置し、そこに、アイヌ文化を育んできた在来種の草木を生態学的混播・混植法を用いて育成することにしました。2022年11月25日には、カラマツの伐採に先立ち着工式を行いました。
2023年5月20日、整備の終わったシンボルガーデンの敷地で、90名ほどのアイヌの方々や札幌市民が協働でイオルを構成する植物の植栽を行いました。木本は、オヒョウやキハダなどの30種320ポット、草本は、ギョウジャニンニクやオオウバユリなど10種120ポットの実生群ポット苗が植えられました。
その後、同じ敷地にある札幌市アイヌ文化交流センターのホールで、記念シンポジウムが開催されました。この間、挨拶やパネルデスカッションでは、札幌アイヌ協会の阿部、結城両共同代表から、本格的な「札幌イオルの森」の設置に向けた意欲が示された。
会場の若者からは、未来に向けて活動している人たちがいることを知り、未来に希望が持てたとの嬉しい発言を聞くことができました。
「札幌イオルの森」の設置に向けた札幌市民のご支援・ご協力をお願いします。