もりハグ!広場

もりハグ!勉強会(2024.03)報告 その2

2024年6月27日

昨年度末3月25日に開催した「もりハグ!勉強会」のレポートです
その2として今回は特定非営利活動法人吉里吉里国 松永さんの講演を掲載します。
東日本大震災からの復興の薪、次世代へつなげる森のお話は
災害大国でもある日本に住まう私達それぞれが考えていきたいものでした。

震災復興をきっかけにこちらに移住し、2023年夏に理事長に就任しました。
日本の片隅にあります、吉里吉里について
岩手県上閉伊郡大槌町、吉里吉里というのは地区の名前です。人口2,000人弱の小さなエリアです。山に囲まれており、リアス式海岸で入り組んでいることもあり波がとても高くなり、津波の被害も大きかった場所です。
このエリアは漁師が多く、海の恵みを受けていました。
山主は漁師の家系です。かつては海が荒れているときは山に入り林業も生活の一部になっていましたが、養殖がはじまり、サラリーマン的に漁師をやる方も増えてきて放置された山林が拡がったのが現状です。

海が見える林業の団体は珍しいのではないかと思います。
東日本大震災により、吉里吉里は16.1mの津波により、町のおおよそ半分が機能を失いました。

吉里吉里国の原点
吉里吉里国の活動は行方不明者の捜索から始まりました。その後木造家屋の撤廃をし、山積みになった瓦礫をどうにかしなければならなかったことと、船を失った人の生業として薪を作り始めたのが原点です。
当初はボランティアもいましたが、大半は吉里吉里の住民が辛い思いを乗り越えて斧を持ちました。
当時、避難所の片隅では常に焚火が燃えていたそうです。そういったところで語り合いながら焚火で立ち上がる力をもらえたと聞いています。
失職者の生業づくりとした復活の薪第一章が始まりました。

復活の薪・次世代へ引き継ぐ森
山で暮らしを立てていこうと山に入ったのです。
海岸沿いの沿岸木を復活の薪として販売を始めました。
地域には森だけが残り、林業グループが立ち上がりました。
森のコンセプトは次世代に残していく森、人が入る森にしていかなくてはならない。もちろん生きていくために収入にしなければならない部分もありますが、次世代に残せる森としていくことも大切にしています。
今だけ、目の前のことが出来れば良いのかという視点に立った時に、副業で林業をする人やボランティアの受け入れ、また次世代を育成することを考えたら薪を使うサイクルを地域に置かなくてはなりません。
次世代に引き継ぐための森林管理、薪文化の復活、薪のある暮らしの提供。林業学校開催で人材育成。内外交流促進。こういった取り組みを様々な人に伝えていくためにも地域コミュニティーの復活も必要なことでした。
もともとの地域の復活は難しく、自治会を再編成して、新たなつながりを作らなければならなりませんでした。

Q:この活動を通じて吉里吉里国の取組みはどんな役割を果たしてきましたか
他地域に参考になるようなポイントがあればおしえてください

吉里吉里の特徴は地域の人が立ち上がったことがとても大きいです
様々な人がかかわって助言や技術をくれて今に至りますが、やはり自分たちの土地をどうにかしたいという地域の人がいたから出来上がってきたのだと思います。
この地域にこれからも暮らし続けたいと思う人を増やしていくというのが活動の根源です。
地域の特性や地域を知ることをこれからも続けていくことで郷土愛が育っていくのではないでしょうか。
震災は日本のどこで起きてもおかしくないです。また災害が無くてもコミュニティーの衰退はあるのです。吉里吉里では大きなことが起こった時に、自分たちがやらなきゃならないと立ち上がる人が多かったのが特徴的です。これからもそういった土地にしていきたいと思っています。

能登の震災も心が痛い出来事でしたが、ボランティアの力を借りるのもとても大きい。その時その時に必要な人が来るということ、また、そういう人たちを受け入れる訓練をするというのが私たちそれぞれの地域で出来ることではないかと思います。