もりハグ!広場
森の冒険遊び場づくり~森が教えてくれたもの~ (NPO法人子育て研究会)
みんなで始めた里山での活動は、場を広げ多くの人を繋ぎたくさんの「楽しい」を生みました。活動は多岐に渡り、作った遊び場での音楽会やアートイベント、そして「食」につなげる活動も増えました。
「楽しい」だけではなく、森遊びの体験が教えてくれた「技」や「思い」は確実に子ども達の中に宿り、順番に大人になっていく彼らの成長の一コマになっています。
森で教わったことは、彼らの日常のあらゆる場で活用され「生きる力」の糧となっています。
このことはスタッフ一同も同じことで、大人になってからの体験もちゃんと「生きる力」になっていて、一から子ども達とともに成長してまいりました。それまでは、何もかもお金を払って買うものとばかり思い込んでいたスタッフ達も、ホームセンターで売っているものを見て「これで何か作れるなぁ」と思うことに意識が向きましたことは大きな変化です! 自分達の身の回りの環境にもさまざまな想像を巡らすことができる、それは森での体験が大きく影響していると思います。
「作って食べる」「作って遊ぶ」「作って楽しむ」こんなことを当たり前にしてくれた森遊びに感謝。少し様変わりした弊会の活動を紹介いたします。
♬森の音楽会
森の中で気持ちの良い音楽会を開催しました。
軽音楽・和太鼓・お箏。様々なジャンルのミュージシャンとの共演です。緑の中での演奏はみんなの心を一つにしてくれました。
♬森のアートイベント
森の中でのアートイベントを開催しました。森からのプレゼントがとっても素敵!
みんなで作ったオブジェです。
♬野草の会
森の恵みに感謝!!!
美味しく食べられる野草を探しにいきました。
楽しいお話を聞きながら野草を探し、みんなでクッキングをして美味しくいただきま
森遊び・・・そこは、沢山の生きものに出会い、森からの恵みを頂き、自らが物を作る、そして人との交流を通じて子ども達が成長できる場です。それは大人達へも多くの良い影響を与えることができます。森での活動は、失敗も成功もすぐには見えてこない、そこには様々な答えがあります。
このような体験は街の中では難しく、森遊びの中にこそ現代に生きる子ども達に必要なことの全てがあります。私達はそこから新しい世界が生まれ、いま子ども達の周りで起こる悲しい出来事の一解決策があると信じています。
NPO法人子育て研究会は、環境保護団体や森の専門家ではなく、子育て支援団体です。今年で設立18年を迎えた私達が支援対象とする多くは、障がいのある子どもと保護者や兄弟姉妹です。彼らの表現は誠に素直で、体験活動に対してのスタンスは個々違っている。そのため体験活動プログラムは、料理、クラフト、習字、陶芸、音楽、ダンス、スポーツ、ガーデニングなど多岐にわたります。中でも森での活動は、私達が行ってきた数多くの体験活動の一つに過ぎず、以前は整備されたフィールドを訪れ遊んで帰るという表面的な森遊びでした。子ども達の表情からも森遊びの楽しさはわかっていましたが当時は、かなりひかえ目でした。しかし森遊びに対しては他の体験では得ることの出来ない可能性も予感していました。その後「森遊びの専門家」と出会い、アドバイスに基づき、近郊の里山をフィールドに選び、森に親しむようになりました。森で「つくる」ということを学び、その経験が私たちの活動を拡げてくれました。
私たちのような素人でも、森遊びを通して自然環境の保全や活用に参加できることを知りました。森遊びは特別なものではなく、また健常の子ども達だけが楽しめるものでもない、ここでは障がいの有無、年齢、性別に関わらず、誰もが自由に過ごすことができます。森を訪れるボランティアの学生の中には初めて森で遊び、初めてマッチを使い、焚き火を経験する者も少なくない。彼らにとっても新しい体験です。
樹を伐ることは樹を植えること、火を着けることは火を消すこと、水を使うことは水を集めること・・・そして食べることは作物を育て収穫し、調理すること。私達の生活で必要な全てのことが自然の中では、一つの流れの中で関係し合っていることを実感できます。
近頃、私達も生物多様性の大切さを耳にすることが多い。私達にとっての多様性とはこの森で子ども達が自らの遊びの中から、新しい感性を身につけ、生きる技や工夫を得ること。そのためには里山が育んできた多様性をもつ自然環境と継続的な人の関わりが必要です。
さらに自然の中での体験は、その導きをしてくれる専門家、インタープリターの存在がとても大切であることも特記しておきます。
さらに、当研究会の活動とは別の動きとして、森遊び・森育てを教育基盤として新しい小学校を立ち上げようと計画しています。今までの認知教育を主軸としたものではなく、非認知教育に力を入れたもので、「遊ぶこと〜学ぶこと〜働くこと」のボーダレスな教育です。さまざまな個性を持つ子どもたちの、さまざまな個性を育てるための選択肢を増やすことで、これから子どもたちが体験する環境激動の時代を生きるための教育です。
北山早智子(NPO法人子育て研究会理事長)
河合嗣生(環境カウンセラー、アトリエ風)