もりハグ!広場

すべては次世代の子どもたちのために

奈良・人と自然の会





奈良・人と自然の会 
会長 千載輝重

1、生い立ち
2001年9月、「わたしたちは大和の自然を愛します」を合い言葉に、シニア自然大学校で研修を終えた有志45人が設立。当初は自然探索や歴史文化ウォークなどを主に活動。本格的な活動拠点を渇望していた2007年3月、奈良県と「歴史的風土景観形成事業ボランティア」の協定を締結し、古都法買い入れ地「ならやま」における景観形成活動を開始しました。
「ならやま」は平城宮跡の歴史的風土特別保存地区内にあり、新興住宅街が迫り、奈良市内中心部から数㎞という市街地に隣接する地域。半世紀以上前は、山林、竹林、水田、畑、果樹園など、まさしく里地・里山の原風景の地でした。生活様式の変化に伴い、半世紀近くの間、「凍結保存」の名のもとに放置され荒廃、辛うじて残る里山の生態系も危機的状態に陥っていました。主要樹種のアカマツは殆ど枯死し、コナラやクヌギは老齢化。林床は富栄養化、笹類が繁茂し、落葉広葉樹の世代更新ができず、ソヨゴなどの低層林へ移行していました。
2007年5月から活動を開始。里地は3~4m以上もの笹藪などがはびこり、里山は枯損木や灌木類などで覆われ、足も踏み入れられない状態でした。

2、現在の「ならやま」
荒廃した里山を再生すべく、笹薮や灌木を切り開き、歴史的風土に適合する自然環境(里地・里山の景観形成と環境整備)を取り戻すとともに、復元された里地活用による有機栽培を実践、希少植物や水生生物の保護と調査観察を行うなど、会員相互の研鑽と親睦の場として活動を続けています。さらには市街地に隣接する里山林の多面的機能を活用し、地域社会への貢献を目指した公開イベントなどを実施しています。実績を積むことで県との協定管理面積も年々拡大し、当初の約7haから現在では16haに及びます。
活動エリア内に自転車道があり、サイクリングはじめ、散歩、ジョギングにも良い環境を提供しています。
昨年、会創立20周年、ならやま景観整備15年目を迎え、新たなステージへ歩を進めています。

3、活動のコンセプト
「歴史的風土と豊かな自然環境を次世代に受け継ぐ」ことをモットーに、以下の考え方を基本として活動に取り組んできました。
① 古都の歴史的景観にマッチした自然
② 里山の生態系の保存と世代更新
③ 都市に隣接する現代の里山ビジョン構築
④ 歴史的景観保全に目覚めた市民との協働

4、活動の概要
活動の基本は、歴史的風土特別保存地区内における自然景観形成と保全です。
里山林においては、ナラ枯れの拡大を抑制・収束させ、萌芽再生、強間伐植樹などによるコナラやクヌギなどの落葉広葉樹の若返りを進めています。林内には5kmにおよぶ観察路、里地内には水路・ビオトープを整備して多様な生物を保護観察しています。また里地では水田、畑、果樹園の有機栽培を行っています。
<研鑽と親睦>
里山研修会(樹木管理、間伐技術、木材活用技能)、
里山の生態系調査(植生・昆虫・野鳥)、
会員相互の体験交流(歴史自然散策、自然観察会)、各種イベント
<地域貢献>
公開イベント、近隣小学校との交流(稲作栽培体験学習、自然観察会など)
奈良県や関係団体の行事に協賛参加

5、結び
すべての活動の原点は「仲間」です。そして「仲間への尊敬と感謝」がパワーの源であり、その向かうところに環境保全を見据えています。
里山は持続可能性のある自然環境のモデルであり、私たちの活動は都市近郊において街並みとの調和や良好な都市景観形成につながるものだと信じています。そして、地域に生活する人々をはじめ、より多くの人に、自然のあり方に接し、自然の不思議や魅力、自然の大切さを実感してもらい、次世代を担う子供たちに受け継いでいければと願っています。

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