もりハグ!広場

みんなで鎮守の森をサクラの名所に

特定非営利活動法人森と木の研究所

はじめに
 カツオの町として全国的に有名な鹿児島県枕崎市の中心
部に桜山校区があります。校区の中心部にある妙見神社の鎮守の森は「妙見の森」として地域の人々に親しまれてきました。
 しかし、近年、モウソウチクのまん延や常緑広葉樹が生い茂るなど荒廃し、人々の侵入を許さない状況になっていました。このため、神社の役員をはじめとする地域の人たちには、往時のようなみんなに親しめる森として整備したいという声が多くありました。
 桜山校区はその名の示す通り、かつては周囲をヤマザクラの咲く里山に囲まれた美しい集落であったといいます。しかし、昭和30年代頃から薪炭材の需要がなくなり、人々は里山へ入らなくなりました。南九州の里山は、放置しておくと鬱蒼とした常緑広葉樹林になるか、または、竹が侵入して人が森へ入ることは困難になってしまうのです。
 このような折、地区の人から、我々も協力するから何とかできないものだろうかと森と木の研究所に相談がありました。
森と木の研究所
 研究所と名前がついていますが、常時、研究をしているわけではなく、実態は森林ボランティア団体です。これまで長年にわたり森林、木材、緑化に携わってきた者の集まりで、今までに培った技術を、ボランティアで森づくりや森林・林業振興に生かし、会員相互の知見を少しでも高めていこう(ここが少し研究所か)という趣旨で設立されました。
 代表理事の大坪が、行政OB、民間を問わず呼びかけ、現在14名+アルファが活動を続けています。会員それぞれが木造専門の設計事務所、木材加工施設経営、造園会社、林業事業体、建設コンサルタントなどとして現役で重責を担っています。有資格者も技術士、建築士、樹木医、防災士などのほか、樹木の分類、同定のできる会員もおり多彩です。
 具体的な活動は、小中学生を対象とした森林環境学習、家族連れを森林に連れて行く森の遊びなどの活動、木材祭りにおける木工教室、市町村林務担当職員を対象にした研修、森林・林業・緑化に関する計画づくり、そして今回紹介する地域の方々と一緒に行う森づくり活動などです。
 設立は2011年で、年ごとに活動が盛んになってきていますが、ほとんど設立時の会員がそのままで、事務量が増加して多くのニーズに対応できないことが課題となっています。
妙見の森の整備      
 妙見の森の整備について相談を受け、検討するなかで都市緑化機構の「花王・みんなの森づくり活動助成」の助成を受けること提案し、森林整備実現のめどが立ちました。森林整備は、保育作業など継続的に活動して実現するものであり、3年継続して助成をいただけるみんなの森づくり活動助成はこの点でもありがたい仕組みでした。
 森づくり計画では、地域の方々から桜の名所となるような整備をしたいという意向があり、ヤマザクラ、ソメイヨシノなどを中心に植栽し、樹下植栽としてセンリョウ、マンリョウを植栽することとしました。
 そして、統一活動日には、自治会組織からの呼びかけに応じ、妙見児童クラブの子供たちをはじめ、毎年100名以上の地域の方々が集まり植栽などの活動に参加しています。
しかし、活動を進めるうえで最も困難な点は、植栽前の地拵えと植栽後の下刈りなどの手入れです。幸いにして、妙見神社の役員に中園さんという森づくりに熱心な方がおり、地拵え、下刈り作業などの保育作業を先導して熱心にしてくださっています。
 地域の方々が多く参加し、自分たちの森として熱心に作業に取り組んでくださると活動主催者としてもやりがいを感じています。また、この活動に呼応して、枕崎市も歩道の木柵やベンチの更新などの整備など支援を始めました。
準備作業など苦労も多いですが今後とも引き続きこのような活動を進めていきたいと考えています。

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