もりハグ!広場

地域ぐるみで水とみどりのまちづくり

特定非営利活動法人ワトワーズ多聞台

2022年12月13日
みんなのもりハグ!


特定非営利活動法人ワトワーズ多聞台 
理事長 島本信夫

NPO法人ワトワーズ多聞台
2017年に設立されたNPO法人ワトワーズ多聞台は、神戸市西部の多聞台という住宅団地の再生・活性化を目的に、まちづくりに関する活動を多面的に展開しています。ちなみに「ワトワーズ」とは「和と輪」に由来する造語です。

また、2009年に設立された「NPO法人豊かな森川海を育てる会」を吸収合併し、その設立趣旨書にある「流域の森・川・海及び人々の生活圏は相互に作用しあって全体を構成しているとの認識に立ち、・・・流域の森・川・海を巡る物質循環のバランスを回復させ、健全で豊かな流域環境の再生と保全を図るとともに、・・・持続可能な自然共生・資源循環型の社会づくりに貢献することを設立の趣旨とする。」を継承しています。

流域単位の水とみどりのまちづくり
 豊かな森川海を育てる会では、2009年から住吉川流域をフィールドに、上流の六甲山での森づくりと、河川域における海と川を回遊するアユを指標種とした<水辺のこわざ魚道>による川づくりを並行して実施しました。河川域では、魚道を設置するたびにアユの生息域は上流に広がり、生息尾数は7年後には魚道設置前の10倍以上に増加しました。1)
 一方、ワトワーズ多聞台では、都市緑化機構のご支援をいただきながら、山田川流域において長年管理放棄されてきた多聞台緑地の里山づくり、松ケ池公園における水辺の野鳥公園づくり、多聞台中央公園におけるみどり豊かなコミュニティの拠点づくりを、地域ぐるみで一体的に展開しています。
 これらの活動を通じて、①民官学の連携、②工学と生物学の融合的導入、③防災対策と生態系保全の両立に加えて、④活動の継続性を担保する地域社会の理解と協力さらに地域文化として根付かせる活動、これらを一体的に実施することがきわめて重要であることを学ばせていただきました。

松ヶ池公園かいぼりの様子

小さなNPOの大きな役割
 社会資本としての都市の水とみどりの機能やありかたについて、最新の知識や技術を地域にどう伝え、どのように実現していくか、この課題に対し地域に根を下ろしたNPO法人には行政や大学とは違った役割が期待されます。
 水の惑星である地球上では、流域を単位として水を媒体とした物質循環と多様な生態系が形成されています。健全で豊かな流域環境を再生し保全する活動主体のひとつとして、当NPOは地域社会の健全なまちづくりを担う立場から、新しい知識や技術を地域に伝え、官・学と連携しながら、その実現に向けた活動をこれからもひとつひとつ着実に推進していきたいと願っています。

住吉川魚道づくり

文 献
1)浜野龍夫編著:神戸住吉川 水と生きものと魚道の図鑑、特定非営利活動法人豊かな森川海を育てる会、2018年

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