もりハグ!広場

もりハグ!勉強会(2024.03)報告 質疑応答や感想など

2024年6月27日
もりハグ!勉強会

講演のあとは参加者さんから質問や様々な感想を頂きました。
それぞれの場所での苦労話に共感したり、元気をもらったり。
お悩み解決のアイデアになりそうなお話も伺うことができました。

Q:蟹がらについて
岡村:蟹がらを使って稲作などをされているが、この効果はどのようなものですか
A:鈴木:蟹がらにはキチンキトサンという成分があって、この成分は植物の遺伝子レベルにとってはカビのような性質であり、これを土にすきこむと、トマトがカビだと思って自ら免疫力を高めて実らせるのです。農薬や肥料という概念ではなく、ただ資材として土にすきこむだけです。補助金の中で資金を捻出してエビデンスを取とり活動してきました。

Q:取り組みの事業化について
安部:鹿児島県阿久根市という所で市の所有している森で子供達と一緒にヒノキやスギの樹肌をむいて一年間天然乾燥させ翌年に伐倒し玉切りして運び出していく「きらめき間伐」を10年ほど続けていますが事業化には至っていません。
あわらでの取り組みや大槌での取り組みは事業化されていらっしゃるが、実際のところどうなのか話を伺いたい。

A:鈴木:awarart自身はやりたいという人が集まっています。コアとなるメンバーは旅館の代表であったり、大学の先生、生産者など様々で15~6人います。プロジェクトごとに協力者が集まるので、関わっている人は多いです。
事業化の話ですが、売り上げは笑われるくらい少なく人も雇えないが、仕事を持っているメンバーがライフワークとしてやっています。
次への原動力というところは健康で楽しく、わくわくすること、まちを作りたいという所を見ています。しんどいことはあったが忘れてしまった。それが正直なところです。
苦労はあるが、それはまた別の場でいくらでも語れます。

A:松永:私自身は農業関係に一切触れてこなかったことが今の楽しみにつながっていると思っています。山に入り山菜を採りに行きそれが食卓に上がる豊かさ。大変特別な体験をさせてもらっています。地域の人はそれを普通になさっているので、これは他ではできない貴重な体験なのだという話をして様々なことを教わっています。
私のような今まで森に関心のなかった人が関心を寄せる。その入り口に立っている団体だと感じています。いつまでも無知なのはだめだけれども勉強しながら、この視点を持ち続けることで良いところにいられるのではないかと思っています。
最近はクマとイノシシの害があります。クマについてはナラ枯れでドングリがなくなっていること。対地球と考えて人はどうやって生き延びていくのかというところに立たされています。ではここで何ができるのかを考えることは面白いです。魚も捕れて山菜も採れて、暮らし方から楽しめているのがひとつ良いところではないかと考えています。

事務局:田舎ならでは地方ならではの暮らしを楽しんでいらっしゃるのは安部さんもそうなのかなと思っています。
安部さんの活動もとても面白いので、次の機会にお話を伺いたいです。

■針葉樹林と混合林について、各地の取り組みや意見交換
岡村:岩手の森づくりは両方かかると思います。森、人が入れるような森を復活の森というのでしょうか、それを目指してやられているのは非常に素晴らしいですね。
先ほどの画面もそうですが対象が針葉樹になっています。人が入り、そこに生物が棲み山菜が生えたりする森は、本来は広葉樹が入り混じった森なのです。
日本の林業技術は針葉樹ばかり。震災後の海岸には国や県がクロマツばかりを植樹しました。一部広葉樹を植えるようにしましたが、みなさんの活動の中で広葉樹についてどのようにお考えでしょうか

松永:たしかに針葉樹の森ばかりに入っています。40、50年前の針葉樹を植える活動や政策があり、その当時の次世代に残すために必要だという思いが込められているものだと思います。全部切って変えてしまうというより、混合林を目指すことが良いのではないかと、私なりに答えを出した部分もあります。多種多様な森としてあると様々な動物が来たり、様々な葉が落ちることも必要、ナラ枯れ、マツクイムシの被害が最小限で抑えられるように。
50年後にはどういう林業の世界なのかはわかりませんが。
今後様々な木を植えていきたいと考えています。また、食べ物があると人が入りやすいなと感じています。例えば楓でシロップをつくるなど。このように森に入るきっかけになる木は広葉樹に多いです。クマ、イノシシ対策としてでもなにか出来れば良いなと思っています。

鈴木:いままさにそのことに関心があります。福井も杉政策で70年ほど前から杉ばかりの森で広葉樹は少ないです。
今は、計画的に荒廃した田畑を森に還していけないかなということを考えています。昔の里山のように人の手が入るような森にするにはどういう風にすればよいのか。
理想的な森に還しつつ、先ほどおっしゃっていたように、メープルなどを森と一緒に享受しながら、またリラックスしながら汗をかきながら森を作っていきたい。それをいまから勉強させてもらいたいと思っています。
獣害についてはイノシシはショウガやえごまを食べないと聞いたので植えたりしています、獣との付き合い方なども模索しつつ、未来の森を逆算して作っていこうと考えています。
いろいろ教えていただきたいです。

岡村:今までの日本の林業政策は針葉樹を作る制度なので、それを皆さんの声で変えていかなくてはなりません。それをいかに具体化するかが問題です。私は30年以上前からイオルの森を作る活動をしています、アイヌの人が使えるような森を作っているのでお互い情報交換しながらやっていきたいですね。

長谷川:タブノキネットワーク)いろいろと参考になることを教えていただいた。私たちは今学校林を整備したり実のなる木を植える活動をしています。皆さんの話を聞いて自立していくこと、事業としてなにか先に進み発展するためには、整備など、多くの人の手を借りるだけではなく、その中から生産性のあるものを見つけながらやって行けたらよいのではないかと思いました。

谷川:地域のために何かできないかと考え23年ほど活動を続けてきました。当初の目標千本桜を夢見て継続しています。人生百年時代と言いますから、もうちょっと頑張れるかなという思いです。私共の村はないないづくしで、あるのは獣害、イノシシ、サル、シカで毎日負けそうになって苦しんでいますが、今回のお話を聞いて頑張りたいと思いました。

松谷:私どもが管理している森はいぶらの森といいます、常緑と広葉の森なのですけれども、里山の森づくりとしてやって5年になります。
柏原市には2000以上の古墳があり、3世紀から8世紀の間森をつぶして古墳づくりをしており、相当森を切って使ってきています。地質の問題もあるが、相当土地がやせていますが工夫をしています。コバノミツバツツジ、地元では万葉ツツジというのですが、それを森に植樹し見に来てもらっています。また、山間部にはカスミザクラが自生しており、それにちゃんと日が当たるようにするなど、時間のかかる仕事をしています。

菊池:お二人の話は大変興味深かった、ディスカッションの中で、森がどのような植物種でつくられるのか、それをどういった森にしていくのかというお話を伺いました。その感想のかわりに紹介をします。私のいる山形県鶴岡市は冬は日本海からの北西の風が吹く厳しい環境の中で、海岸林を造成してきました。古くは江戸時代から300年をかけて先人が全長33㎞に及ぶようなクロマツの林を作ってきました。このようにクロマツの林は先人からの思いもあり、なかなか混合林にすることに首を縦に振ってもらえなかったのですが、近年の深刻な松枯れ病や内陸部の混合林化もあり、20年ほど前から混合林に向けてようやく話し合いが出来るようになってきています。